※本記事には広告・アフィリエイトリンクが含まれます。
木下、羽柴、豊臣。秀吉の名前を順番に書くと、最後に名字を豊臣へ替えたように見えるよね。
でも、そこは少し分けて見よう。羽柴は名字、豊臣は朝廷から与えられた姓。現代の同じ「苗字」の感覚で、羽柴をやめて豊臣にした、と一本の矢印だけで覚えると違いが抜けてしまいます。
ここでは博物館の説明に沿って、豊臣を「姓」、羽柴を「名字」と呼びます。同じ秀吉に、別の種類の名乗りがある、という入口です。
秀吉の名字は、亡くなるまで羽柴だったと説明されている
千葉市立郷土博物館の館長メッセージは、歴史上の名字と本姓を説明する中で、秀吉についても触れています。本姓は、源や平など、歴史上の家の系統に関わる名です。
その説明では、豊臣は朝廷から与えられた姓で、名字は亡くなるまで羽柴としています。
なるほど、羽柴秀吉と豊臣秀吉が出てきても、単に「前の名前」「最後の名前」だけの関係ではないんだね。
年表へ書くなら、名字の欄へ「羽柴」、朝廷から与えられた姓の欄へ「豊臣」と、二つの欄を作ってみよう。一つの「改名」欄へ押し込まないだけで、今読んでいる資料がどちらの名前を説明しているかを追いやすくなります。
今回は名前の種類を見分ける話に絞っています。姓を受けた年月日や、さらに細かな名乗りの形式まで、この区別だけから推測して足さないでね。
「羽柴」を見つけたら、秀吉以外の人にも目を向けよう
もう一つ面白いのは、羽柴を名乗ったのが秀吉一人ではないことです。
黒田基樹著『羽柴を名乗った人々』の出版社紹介は、秀吉から羽柴名字を受けた大名たちと、その政治上の関係を扱っています。名字を与えて「御一家」と位置付ける仕組みへ、話が広がります。
古文書や展示解説で羽柴という文字を見つけた時も、そこだけで秀吉本人と決めず、続く名前や肩書、説明文まで見よう。同じ名字という手がかりがあっても、誰が、どんな立場で名乗っているのかは別に読む必要があります。
本を選ぶ時は版も合わせてね。今回取り上げるのは、2025年7月25日発売の角川ソフィア文庫版。出版社は、角川選書版へ加筆した文庫と案内しています。本文を通読した感想ではありません。
黒田基樹『羽柴を名乗った人々』角川ソフィア文庫版を楽天で確認する
展示で見かけた「羽柴」を、前の名前だから、と通り過ぎなくていいんです。まず誰の名字なのか。その一か所から、秀吉と周りの人の関係を読む楽しみへ進んでみよう。